国家資格も色々あるが、定年後に飯の食える資格は多くはない。私自身49歳から勉強・受験スタート、54歳にしてやっと合格と約5年がかりの道のりでした。
電験三種(第三種電気主任技術者資格試験)取得後、これを活用し
定年後、再就職できた(現在も就業中)経験から、勉強合格までの道のりをつぶやきます。
そもそも電験三種とは?
第三種電気主任技術者のこと、もしくは技術者資格試験のことを言います。一般的には前者を言います。
電気主任技術者と電気工事士との違いは?
電気主任技術者は既設電気設備の保守・点検が主な仕事で、老朽化に伴う改修・リニューアル工事の計画などの保安監督業務を担当し、電気工事は行わない。(監督官庁:経済産業省)
電気工事士は電気工事を担当、新築・既築の電気設備工事を行う。設備規模・電圧により一種と二種がある(経済産業省:電気工事士法)
どちらも国家資格のため、免状が必要となる。
電気工事士試験については、後述に記します。
第三種電気主任技術者を取得するメリットとおすすめ理由
1,定年卒業前後の再就職・転職に有利である。
40~50代は企業からみれば早期退職予備軍、経営状態によりいつ退職勧告されるか分からない。
60代以降の再就職も考えると必ず就職・仕事が出来る人「手に職を持つ人」が優先される
2,資格に有効期限がなく、一生使える。
電験資格免状は更新の為の講習会受講や免状の有効期限もありません。生涯現役で働く事も可能です。
3,受験条件に制限がなく、誰でも受験できる。
受験資格に、年齢・性別・学歴・国籍等の条件がないので誰でも挑戦できる。
4,業界での有資格者需要が増加中で、人手不足状態が続き技術者需要が旺盛である。
電験資格保有者の年齢構成は50代以上が60%・60代以上が40%と高齢者が多い。しかし少子高齢化により高齢者リタイアが進み、人手不足状態がこれからもますます進み、技術者不足が顕著となり再就職には困らない。
5,技術者の業務分野が、将来AI技術に取って代わる可能性が少ない。
電験技術者の現場仕事は意外にアナログ部分が多く、AI利用したデジタル化が難しい。そのため、技術者の実務経験が多くなるほど優秀な人材として迎えられる。
6,電気主任技術者の仕事は設備保安監督業務の「独占業務」である。
有資格者による保守点検報告義務が電気事業法により独占的定められています。
7,年収アップを図るための、資格レベルアップが可能となる。
電験三種取得後、実務経験を経て二種・一種へとレベルアップの可能性が広がる。またビル管理業に必要な電気工事・施工管理・電気通信等の資格を順次取得し業務の幅を大きく広げる事が可能となる。
おすすめに際しデメリットは?
あえて言えば、試験が難しく資格取得まで時間がかかること
しかし、それだけ価値のある資格と言え、一生を有利にするものであると言える。
ちなみに合格率ですが、第三種の場合は年度にもより幅がありますが、大体15~20%ぐらいです。下記詳細の通りです。
(ちなみに第二種電気工事士の場合の合格率は筆記が60%、技能が70%ぐらいです)
試験の詳細等は後述に記します。
合格率は?
電験三種の年度別合格者数は以下の通り
令和4年度より試験回数が年2回となり、合格率がアップしています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
令和元年度 | 41543 | 3879 | 9.34 |
令和2年度 | 39010 | 3836 | 9.83 |
令和3年度 | 37765 | 4357 | 11.54 |
令和4年度上 | 33786 | 2793 | 8.27 |
令和4年度下 | 28785 | 4514 | 15.68 |
令和5年度上 | 28168 | 4683 | 16.63 |
令和5年度下 | 24567 | 5211 | 21.21 |
試験を受けずに主任技術者として認定される「認定合格制度」については後述します。
資格者の仕事は何?どんな仕事?
市中の建築物には電気が必ず必要ですが、一定容量(600V以上の高圧受電や50Kw以上の太陽光発電設備などの小規模発電設備)の建物電気設備(自家用電気工作物)には
電気主任技術者による保守・点検・報告が義務付けられています。(電気事業法・第42,43条)
該当する建築物にはコンビニエンスストアから、ビル、商業施設、レジャーランド等都市内建築物のほとんどが該当します。
具体的な仕事は
主たる業務は
●通常定期点検業務
●年一回定期点検業務
●緊急時の事故対応・復旧作業業務
従たる業務として
●設備更新時、計画・検査等の業務
●メーターの検針チェック、電気代の計算、新電力などコストダウンのための提案
などがあげられる。(下記)
●通常定期点検業務(月2回)
・耐圧、加負荷テスト 漏電チェック 端子機器の油洩れ・錆び・温度のチェック ブレーカ動作チェック
・使用電力量計測チェック 電気料金チェック
・通産局、ユーザー様提出の報告書作成
・省エネ省電力対策の提案
所要時間は設備規模・作業人員にもよるが1~3時間程度
●年一回定期点検業務
・全停(電気設備全ての電源を落とし)による点検作業【開閉器入切りテスト、耐圧テスト、漏電チェック】
・報告書作成提出
・老朽化機器の交換工事(電気工事士)立会いチェック
●緊急時(地震・台風・大雨・火災など)の、停電・機器破損時の対応作業
復電(電気復旧)作業と機器チェック